
化粧品容器は棚ではなく中身で選びます。処方と粘度、素材、容量と1回量、口規格とキャップ、加飾。仕様を決める判断と、最小ロットと価格を動かす要因を整理しました。
棚ではなく中身から考える
設計を始める前に、4つの答えで仕様の大半が決まります。何を入れるか、どれくらい粘るか、1回にどれだけ使うか、光や空気で変質するかです。
- 製品の種類と粘度(さらさらの化粧水か、固いクリームか)
- 1回の使用量:滴、プッシュ、グラム
- 光・空気への敏感さ、UVカットの要否
- 防腐系とpH(使える素材が決まる)
セラムとボディローションは同じシルエットでも、素材・口・キャップは別になります。
製品に合う容器の組み合わせ
| 製品 | 一般的な容量 | よく使う容器 | 理由 |
|---|---|---|---|
| セラム・エッセンス | 30〜50ml | スポイト付きPETGボトル | 少量を正確に、低粘度 |
| 化粧水・ミスト | 100〜200ml | ミストスプレーPETボトル | 均一に噴霧、中身に触れない |
| ローション・乳液 | 200〜250ml | ローションポンプ HDPE/PET | 粘度が高くても振らずに出せる |
| クリーム・バーム | 30〜50ml | ネジ蓋PPジャー | 壁面まで使い切れる |
| ボディケア | 400〜500ml | ディスクトップ・ポンプ HDPE | 1回量が多く、手が濡れる |

素材:見え方と守るもの
| 素材 | 見え方 | 向く製品 | 注意 |
|---|---|---|---|
| PET | 透明でガラス調 | アルコール不使用の化粧水・ミスト | 熱で変形、溶剤に弱い |
| PETG | 厚肉で高級感 | セラム、ギフト、厚肉クリームジャー | 傷つきやすい、PETより高価 |
| PP | 半透明〜不透明で硬い | エッセンス、オイル系、詰替 | 光沢は控えめ、透明性に限界 |
| HDPE | 不透明で柔らかい質感 | ローション、クレンジング、ボディ | 透明不可、着色は良好 |
| アクリル(PMMA/SAN) | 重量感と高光沢 | 高価格帯の外装・キャップ | 重く割れやすい、リサイクル困難 |
| PCR PP・HDPE | やや濁り | 再生素材目標のブランド | 配合率で色と強度が変動 |
再生素材の表示を計画するなら、色の承認前にグレードを確定してください。PCRは色味を動かします。

容量・1回量・ヘッドスペース
1回量から逆算します。1日2回0.3ml使うセラムは30mlで約1か月、1回8mlのボディローションは250mlで1か月です。充填量は手持ちの金型ではなく、売る使用習慣に合わせます。
- ポンプやスポイトが入るよう5〜8%の余裕を確保
- 金型の前に充填会社と充填ラインを合意
- 販売国の内容量表示ルールを確認
- 表示容量は消費者が受け取る量。口元までの容量ではない
充填ラインで28mlしか入らない30mlボトルは、金型ではなく表示の問題です。金型を削る前に解決してください。

口規格とキャップ
| 口 | 通常のキャップ | 用途 | 注意 |
|---|---|---|---|
| 18/415 | スポイト・ミスト | セラム、エッセンス | 短いねじ、トルクと密閉の確認 |
| 20/410 | ミスト・ローションポンプ | 化粧水、流動液 | 小型ミストの標準、ストロー確認 |
| 24/410 | ローションポンプ・ディスクトップ | ローション、クレンジング | ストローが底に届く長さ |
| 28/410 | ポンプ・トリガー・ネジ蓋 | ボディケア、シャンプー | 1回量が多く、ガスケットを処方に合わせる |
| クリンプ15/18mm | 香水ポンプ | 香水、アルコール系 | 充填現場にクリンプ設備が必要 |
口は金型後に変えられない唯一の寸法です。実物のキャップで承認してください。

加飾:棚でどう見えるか
| 方法 | 見え方 | 向く数量 | 注意 |
|---|---|---|---|
| ラベル | フルカラー、変更が容易 | 数量を問わない | 粘着剤が表面と中身に合うこと |
| スクリーン印刷 | 直接印刷、質感 | 数千本から | 色ごとに版と段取り |
| ホットスタンプ・転写 | 金属調、精細 | 中〜大量 | 平らか緩やかな曲面が必要 |
| ソフトタッチ・マット | 高級感、滑りにくい | 数量を問わない | 指紋、耐摩耗・アルコール試験 |
| メタライズ | 鏡面 | 大量 | コストとリサイクル性 |
加飾は既製ボトルを自社製品に変える工程で、金型後の納期の大半がここに集まります。

サステナビリティ:表示できること
- 色承認前に再生素材比率を決める
- 設計が許す範囲で単一素材を保つ
- ポンプ・スポイト・ディスクが分離できるか確認
- 環境表示には文書の根拠を残す
- 製品が許せば詰替や大容量を用意する
外せないポンプが、リサイクル可能表示が通らない最も多い理由です。
コストと最小ロット
- 金型:既存形状は不要、新規は3〜6週間と一度の費用
- キャップ:ポンプやスポイトが本体より高いことが多い
- 加飾:色・箔・コーティングごとに最小ロット
- 発注量と梱包:カートン・パレット構成で単価が変わる
- 色:調色マスターバッチは最小ロット、既存色が安価
最も安い第一歩は、既存ボトルにキャップとラベルを組み合わせることです。金型は売れ行きを見てからでも遅くありません。
化粧品容器の選定でよくある質問
セラムと化粧水で同じボトルを使えますか?
シルエットは共用できますが、キャップとオリフィスは通常異なります。化粧水はミストインサート、セラムは定量スポイトが必要です。両方の口規格を決めれば金型費を抑えられます。
化粧品にPETGはPETより良いですか?
PETGは厚肉で光沢があり高級棚に向きます。PETは軽く安価でリサイクルしやすい。製品の訴求と販売国のリサイクル基準で選んでください。
新しい金型は必要ですか?
容量・口・デザインを満たす既存形状がない場合だけです。多くの初回発売は既存金型+専用キャップと加飾で始まります。
最初の発注量の目安は?
既存金型なら色ごとに数千本から可能です。新規金型は金型費を吸収できる初回量が必要です。両方を同時に見積もります。